企業への転職を考えてみる

■転職のおすすめ

「転職」に関しては誰でも一生に数度は考えるものではないかと思います。現在の職場にこれといった不満がなくてもさらなるキャリアアップを目指して転職をしたいと考えている人も多いと思いますし、今とは違うジャンルの職場、たとえば病院外の職場、一般企業などで多少ハードでもやりがいのある仕事をしてみたいと思っている人もかなりいるはずです。

転職のための求人サイトはたくさんありますから新しい職場を探すのは難しくはありませんが、どうせ転職をするのなら後から「転職してよかった」と思える職場を探すのがベストです。

企業の求人の中でも医療関係の仕事は常に一定した需要があるという特徴がありますので、看護師の資格を持っていれば転職もかなりスムーズに行くと思います。医療機関とは違って一般企業に勤務するとなると電話の応対などの職務もこなさなければなりませんが、それなりにメリハリがあっていいものです。

■さまざまな職場

ひとくちに企業と言っても医療器具・医療機器メーカから製薬会社、医薬品会社などとさまざまなものがあります。医薬品会社には外資系企業も多く、看護師でしかも英語が達者な人であればいろいろな形で自分の才能を活かす機会も増えるのではないかと思います。

また子どもが好きな人であれば学校の医務室などの勤務もおすすめですが、ただし学校の医務室や保健室で働くためには看護師の資格の他に養護教諭の資格が別に必要となってきますので注意が必要です。病院に勤務していると夜勤などが多くて何かと時間を取られるものですが、企業や学校の業務なら時間的余裕を持ちながら資格を存分に活かせる可能性があります。また在宅治療や健康相談の仕事もおすすめです。

■違う環境で働いてみる

臨床の現場で患者と接して培ってきた経験や即戦力としての能力は病院に限らずどんな場でも実力を発揮できるものです。医療の世界は日進月歩で開発などもめまぐるしく進み、最新機器の普及・導入もあり職務内容も年々高度化しています。

商品企画やマーケティングなどといった自分では思いもつかなかった分野で才能を発揮することもあり得ますから、転職を思い立ったら積極的に求人に応募して現在とはまったく違う環境で働くチャンスを自分に作ってあげることも大切です。

転職サイトの中にはアドバイスなどを行う専任の担当者を置き、細かくフォローを行なってくれるところもたくさんありますので、不安なことがあったら一人で悩まずに相談して後悔のない転職をしたいものです。

「クリニカルスペシャリスト」とは

■クリニカルスペシャリストとは

医療関連の求人を見ていると「クリニカルスペシャリスト」の求人がけっこう多いことに気がつきます。クリニカルスペシャリストは別名「クリニカルアドバイザー」「メディカルアソシエイト」「アプリケーションスペシャリスト」などとも呼ばれていますが、要するに医療機器メーカーの営業職に同行して医薬製品や医療機器を扱う医療機関や施設などを回り、自社製品のデモンストレーション・取り扱いのためのトレーニング実施・導入後のアフターフォローなどを行う人のことを言います。

医療機器等は売ってしまったら終わりというわけではなく、販売後も使用方法に対してのサポートが非常に大切です。

また導入前にも医師や看護師を対象として製品の勉強会や症例紹介・説明・啓蒙活動などを行う必要がありますが、この際にもクリニカルアドバイザーが活躍します。

■クリニカルスペシャリストのメリット

クリニカルスペシャリストは企業に勤務して営業活動を行うわけですから夜勤はなく、土日祝祭日はお休みのサラリーマンとまったく同じスケジュールで仕事をすることができます。ですから子育てや介護の関係で夜勤ができないけれど看護師としての専門性を活かしたいという人にはぴったりの仕事だと思います。ただし学会・セミナーがある場合は休日出勤や地方出張なども必要となります。

クリニカルスペシャリストは時には100~200名の医療従事者の前で最新医療機器について説明しなければなりませんので、人とのコミュニケーションが好きで物おじしない性格の人には最適です。

看護師の資格は持っているけれど臨床の場以外で看護知識を活用したいと考えているのであれば、一度クリニカルスペシャリストへの転職を真剣に考えてみることをおすすめします。

■クリニカルスペシャリストとして大成するには

クリニカルスペシャリストの転職で成功するためには、まずこの仕事が基本的に「営業・企業のPR」業務であることを認識しておく必要があります。ですから常に学会情報や業界の情報を収集し、展示会などで見識を広めてクライアントに最良のサービスを提供しなければなりません。

また医療機器メーカーには海外資本のところも多いので、技術知識と共にできれば英語力を磨いておくことも大切です。英語力があればすぐには役立たなくても、長い目で見ればいずれはどこかで力量を発揮することができるチャンスが訪れるはずです。

看護師の給与はある年齢を過ぎると頭打ちになってしまいますが、クリニカルスペシャリストであれば医師と同等の年収を得ることも可能です。

人気のコールセンターでの健康相談

■コールセンター勤務のおすすめ

看護師の職場が医療機関だけではないという意識はかなり一般にも浸透してきているようですが、医療機関以外で人気の職場というとコールセンターでの電話相談がまっさきに思い浮かびます。

コールセンターで電話相談を行うスタッフは「メディカルカウンセラー」とも呼ばれていますが、要するにお客さまからかかってきた電話で健康相談に対してアドバイスを行うのが主な仕事内容となります。直接患者やその家族と対面して看護や介護支援を行うわけではなく電話越しで対応する仕事となりますが、それだけにコミュニケーション力が重要となってきます。

人の話を聞くのが好きな人、やりがいのある仕事を探している人は近年求人の増加しているコールセンターへの転職もぜひ一度考えてみることをおすすめします。

■コールセンターの雇用形態

コールセンターでの仕事は24時間対応が基準となっており、たいていは3交替のシフト制が取られています。オフィスには仮眠室なども用意されていますので夜間勤務もそれほど辛くありませんし、医療の現場とは違って力仕事は必要ありませんので腰を傷めている看護師などには最適の仕事です。

コールセンターの雇用形態はアルバイト、正社員など自由に選べるところが多いので、たとえば家庭の都合に合わせて週4日だけ、あるいは夜だけなどといった働き方もできます。

コールセンターにかかってくる電話の内容は育児にまつわった相談から高齢者の緊急通報など多種多様ですので、これまでの看護師としての知識を活かすと同時に常に新しい情報を仕入れておく必要もあります。

■小児救急医療電話の有償ボランティア

コールセンターでの仕事はPCの入力作業ができればそれほど難しくはありませんが、中には関節リウマチ製剤の薬の用法についての問い合わせや在宅自己注射、あるいは家庭用医療機器の操作法についての質問などもありますので日頃から幅広い知識を蓄えておかなければなりません。

小児科での経験が長い看護師であれば小児救急医療電話相談での仕事もおすすめです。小児救急医療電話は全国各地に設置されており、#8000に電話をすると看護師や小児科の医師が対応するというものです。

素早い対応と的確な回答が必要とされる仕事ですが、それだけにやりがいもあるというものです。小児救急医療電話相談員は「有償ボランティア」という形を取っており、たとえば大阪府の場合で通常期の謝礼は2万2000円(土日祝は2万7000円・交通費含む)となっています。ただし繁忙期には通常期の謝礼に別途プラスされるようです。

近年注目されている産業看護師とは

■産業看護師とは

看護師の仕事の中でも最近特に人気が高いのが「産業看護師」あるいは「企業看護師」と呼ばれるものです。企業健康管理看護師も産業看護師のひとつで、所属する企業社員の健康管理を行うのが主な仕事となっています。

産業看護師の場合、勤務時間は他の社員と同じですので普通の9時5時の生活をすることができ、土日もしっかりと休めるというメリットがあります。ですから子育て中の人などは医療機関からの転職を考えている方も少なくないようです。

社員の健康を管理するとなると生活習慣病予防はもちろんのこと、メンタル面のケアがけっこう重要となってきますので、こういった分野の専門知識と経験がある看護師であれば理想的だと思います。

■第一種衛生管理者の資格

産業看護師として働くためには看護師の資格さえ持っていれば十分ですが、有利な転職を考えているのであれば衛生管理者の免許も取得しておくことをおすすめします。衛生管理者には第一種と第二種のふたつがありますが、全業種で有効な第一種衛生管理者がおすすめです。

衛生管理者試験を受けるためには大学または高等専門学校を卒業した後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有しているか、あるいは高等学校または中等教育学校を卒業した後3年以上労働衛生の実務経験を有していることが条件となります。

衛生管理者は国家資格であり、50人以上の勤務者がいるオフィスであれば必ず一人以上はいなければならないという決まりがありますので、一般企業には非常に重宝な存在です。

■産業看護講座Nコース

産業看護師としての勉強をみっちりとしたいという人なら「産業看護講座Nコース」を受講しておくのがいちばんです。産業看護講座Nコースは産業看護の実務経験が2年以上で衛生管理者の資格を有している人を対象としており、このコースを修了すれば「産業看護師基礎コース」へ進むことができます。以前は日本産業衛生学会産業看護部会が規定して開催していましたが、現在では各都道府県の産業保健促進センターで「短縮Nコース」が開催されています。

企業社員のストレスは年々高まっており、これに対応して身体ばかりではなく不安など心の病気に対しても適切な看護を行うことは非常に大切です。主要企業の中にも産業看護の重要性に着目し、社内の環境を豊かにするためにいい産業看護師を求めて求人を行なっているところがたくさんあり、需要は今後も増加が望めることは間違いありませんので、看護師として活躍したいという人には理想的な職場となると思います。

看護師がマーケティング?「セールスサポート」とは

■看護師とセールスサポート

看護師の仕事といえばナイチンゲールの昔から「患者の看護」と決まっていましたが、最近ではこの看護師という国家資格を活かした職場がどんどん広がりつつあります。勤務先も医療機関に限らず一般企業や医療機器メーカ、製薬会社などと多岐にわたっており、看護師がより多彩な活躍ができます。

医療機器のセールスサポートの仕事もそのひとつで、看護師の経験と知識を最大限に活用して積極的な仕事ができると評判です。

セールスサポートの仕事では看護師は所属している企業の営業担当に同行してデモンストレーションを行ったりセールス活動のサポートをしたり、情報の提供をすることになります。営業担当は機器に関する知識は持っていても臨床経験はないものです。そこで看護師がプロとしての立場から技術面・臨床面の説明などでサポートを行うわけです。

■セールスサポートの仕事

看護師が営業なんてと思うかもしれませんが、医療機器の製品情報を営業先に正しく伝え、販売前に機器のメリットや扱い方などについて詳しく説明するのは非常に大切な仕事です。

多くの医療機器メーカでは3年以上の臨床経験を持っている看護師を募集しており、年俸の他にインセンティブも稼ぐことができますから高収入をあげたいという人は挑戦してみる価値ありです。営業に関してはまったくの素人でも最初にトレーニングを行ないセールスエンジニアとしてのノウハウを指導してくれるので安心です。

医療機器の販売にあたってはプリセールスが重要となりますので、機器に関する深い理解や技術資料の作成、販売戦略立案、マーケティングなどにも参画し、プロダクトスペシャリストとしての自覚を持つことも必要です。それだけに看護師としての可能性をもっともっと高めたい人にはやりがいのある業務と言えると思います。

■セールスサポートの年俸

営業のない日は会社で目標管理やマーケティングなどのデスクワークも行うことになりますが、英語が堪能なら外資系企業のセールスサポートとして勤務も可能で海外での活躍も夢ではありません。

セールスサポートの年俸は各会社によってもちろんまちまちですが、たとえば34歳看護師で年俸530万円にインセンティブが加算される例が多いようです。仕事に精を出せば出すほど見返りも大きいのがこの仕事の特徴です。

セールスサポートとして働くために必要な資格は看護師免許の他にこれといってありませんが、普通自動車免許を応募資格に入れている企業も多いようです。またPCで資料を作成できるぐらいのスキルは身に着けておきたいものです。

企業で求められる看護師

■看護師の活躍の場

最近、病院などの医療機関ばかりではなくて医療器具メーカーなど一般企業で活躍する看護師が増えてきています。患者の看護以外にもコールセンターでの電話の対応、クリニカルスペシャリスト、セールスサポート、開発側の立場でPRや説明を行う営業のサポートなど看護知識を利用した仕事はたくさんあるものです。

医療機関の病棟や外来で実際に患者と接して看護師として自分を高めるのもいいものですが、医療関係の企業に務めて産業看護師として働けば思いもかけない新しいチャンスが開けることもあるものです。企業で働くためにはそれなりの専門知識が必要となりますし、医療の現場とは違った意味でのコミュニケーション能力も必要となってきます。また同僚は医療関係者ばかりではありませんので社内の人間関係などにも気をつかう必要が出てくるかもしれません。

■企業看護師になるには

企業が看護師を雇用するにあたっては何よりもスペシャリストとしての視点と臨床経験を重視するものです。実際に医療の現場で培ってきた豊かな看護知識と経験が期待されるわけですから、面接の際には自分がどの分野のスペシャリストとして経験を積んできたか、具体的にどのような活動をしてきたか、領域を特定して相手に伝えられるように準備しておきたいものです。

企業に勤務するために看護師免許以外に要求される資格は特にありませんが、パソコンでプレゼーテンションの資料を作成できるぐらいのスキルを身に着けておけば即戦力として重宝されます。

また外資系企業の求人を探しているのであれば英語力にも磨きをかけておきたいものです。英語力はTOEICの点数で測られることも多く、外資系企業ではTOEICの点数を採用の基準に設けてあるところも少なくないようです。800点以上ならビジネスレベルもクリアしているので有利です。

■企業看護師の心構え

中には一度企業に務めた後に看護師免許を取得して転職したケースもありますが、こういった企業経験のある場合も企業には歓迎されます。企業勤務が未経験でも熱意さえあれば十分に採用が可能ですし、営業のサポートをするのであれば普通免許証があったほうが有利です。

企業務めとなると出張もありますし、海外研修や学会にも積極的に参加しなければなりません。面接時にはこれらの点に関してもきちんと意向を伝えておくことをおすすめします。

企業勤務となると事務などのデスクワークも多くなりますので事務に関する勉強もしておけば求人の際に有利です。年齢的には35~40歳程度までを目安に考えた方がいいようです。